このため、多くの金融機関が金融商品名の入った屋外看板などを掛け替えざるをえなくなった(つまり、金融商品取引法は、看板業界にも特需をもたらしたわけだ)。
金融取引にリスクはつきものだから、こうした規制は必要かもしれない。
では、「リスク」とは何だろうか?重要なのはこの点である。
株式や投資信託がリスクを抱えていることは明らかだ。
では、国債は安全な資産と言えるだろうか?はっきりと目に見えないが、重要なことだ。
これに対処するには、外貨資産で運用するしかない。
そうした心配があるからこそ、前項で見たように、日本の個人投資家は外貨資産での運用を増やしたのだ。
このように、為替リスクやインフレのリスクを考えれば、「安全な金融資産」などありえない。
こうしたリスクが問題となる責任は経済政策にあるのであって、金融商品取引法にあるのではない。
リスクが存在するという事実に変わりはない。
だから、国債にもN本銀行券にも「これで資産を持つと為替リスクがあります」という注意書きを書くべきではなかろうか?(札の場合には、「N本銀行券」という文字と同じ大きさの文字で)。
もちろんジョークのつもりである。
よくよく考えてみれば、ジョークと片づけるわけにはゆかないかもしれない。
「金融立国」のために何が必要か?「金融立国」のために、市場インフラの整備と並んで重要なのは、高度な金融業務を行ないうる人材を育成することだ。
このためには、ファイナンス理論の教育が不可欠である。
ファイナンス教育で不可欠なのは数学ところで、価値評価は、数字で答えを出さない限り、意味がない。
「実用的なファイナンス理論とはどのようなものか」という点に関しての答えをも示している。
ファイナンスのプロと称する人たちの多くが、(どこかで聞きかじってきたと思われる)概念や言葉を振り回して得意になっている。
たとえば、「キャップレート、リスクプレミアム、イールドギャップ」等々である。
直面している問題に関して、「その値はいくらか?」という質問に答えられない限り、いくら言葉を振り回したところで、(素人をたぶらかすにはよいかもしれないが)なんの役にも立たない。
これらの値を求める計算式を導出するには、数学が不可欠だ。
公式だけ与えて「表計算ソフトで計算せよ」とするだけでは、答えは出てくるものの、適切でない対象に公式を当てはめてしまう危険が大きい。
実用的であるためには、「すぐに役立つ方法」を教えるのでなく、モデルと仮定を明確に示し、論理的な筋道をはっきりとたどる必要がある。
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